32歳独身俺。親にすら卑屈な劣等感を抱く

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今月の初め、神奈川にある実家の親父から電話が掛かってきた。
「ゴールデンウィークどうせ予定ないんだろ。帰って来い」
どうせ予定がない――まぁそのとおりだけど、キツイ物言いだ。だからというわけではないのだが、俺は「帰らない」と告げた。
別に俺は親が嫌いではない。こうやって電話をくれて時には心配もしてくれるいい親だ。でも今は好きでもない。最近は早く相手見つけて結婚しろとか言わなくなったけど、でも会えば必ず1回は言ってくる。俺は正社員でまじめに働いてこそいるが、安アパートで独身で肩身の狭い孤男だ。哀れな生き物を見る目で接してくる。
小言を言いたくなるのもそうした接し方をする気持ちもわかるが、正直うんざりだ。
俺の気のない返事を聞いて、親父は怒った。
「もう2年も帰ってないんだぞ!」
「帰ってもやることないし、めんどくさい」
「母さんだって寂しがってる」
「あっそ。ってかもういいんじゃない? そんな頻発に帰んなくたって」
「…おまえ俺たちのこと厄介に思ってるんじゃないか?」
ギクリとした。思ってる。
「思ってないよぉ。なんかあったら帰るよ」
さすがに血縁者の誰かが死んだりとかしたら、ね。
その後は俺自身にこそ何かあった時に困ってしまうので険悪にならぬよう親父を宥めすかして通話を終えた。

考え方も含めて、よくないとは思う。だけどしょうがないじゃないか。親父も母さんも幸せの全てを手に入れている。マイホームにマイカーに二人の子供(俺と兄)、数年前に兄貴夫婦に孫まで産まれてパーフェクトだ。そんな人達に俺の気持ちがわかるはずがないし、加えて親父は昔から未婚者を見下す発言をしていた。今の俺はそんな親父の価値観に添える人生は歩んでいない。
もう、無理なのだ。
俺は気付いてしまった。俺と親は対等ではない。既に結婚している兄貴も含め、彼らには俺の言葉はどんな発言も説得力を持たない。会話すら成立しないのだ。
だから、帰るまい。
二度と会わなくていいと、俺は思っている。