宗教の集会に参加した

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4月の中頃のこと。俺が住むアパートの一室のインターホンを鳴らし、二人のおばさんが訪ねてきた。宗教の勧誘であった。
上品な物腰のおばさん×2は「毎日集会を行ってるから来てみてほしい」と言ってきた。普通ならにべもなく断り参加などしないだろう。だが孤独を患い人との交流に飢えている俺は、そのどうかしちゃってる思考で『宗教なら俺を優しく受け入れ、居場所を与えてくれるかもしれない』と思い、誘われるまま集会に行ってみることにした。
色々と怖いので宗教名などは伏せるが、数日後。
指定された集会場に行ってみると、壇上のある畳の広間に50人くらいの品のいいおばさんたちが正座で鎮座しており、それを見た瞬間俺は『うわっ、場違い』と思って少し引いてしまった。男性は壮年の人が2名しかいない。

32歳とはいえ、おばさん方からしたらまだ若い男が訪れるのはよほど珍しかったのだろう、えらく歓迎こそされたが俺にはこの集団に溶け込める気がしなかった。
集会の内容も、教祖様が書かれたありがたい言葉を復唱するまではよかったが、あとは壇上に上がったおばさん方の子供ことや夫婦円満な話を聞かされるばかりでとてもじゃないが独身の孤男が共感できるものではなく、いい歳こいて独身でいることが異常で罪のようにすら思えていたたまれなかった。
畳の上に正座して、途中で痺れてきた足を胡座に変えて一時間。
集会は終了し、おばさん方に優しい笑顔で「また来てね」と言われたが、俺はもう来ることはあるまいと「はぁ…」と溜め息のような返事をして家に帰った。

その後その集会に俺が参加することはなく、何度か「他にもこういう集会があるよ」とお誘いを受けたがどれも俺が参加していいようなものはなく、ついには「俺にはこの宗教は合わないと思います」と言ってしまいおばさん方をすごすごと追い返すようなかたちになりまたいたたまれない気持ちになってしまった。

俺が参加した宗教はある程度満たされた人間の集合体だった。まったく満たされていない俺が合うはずもない。
何もない人間は何も生み出さないものとして切り捨てられた気分だ。俺も占いを嗜む者としてオカルトな事象は信じちゃいるけど、宗教には神も仏もあったもんじゃねーなと思った。